ふとタイトル通りの話を思い出したので、この話を残しておこうと思います。これはあくまで一個人の話でこんな人が日本学生支援機構の奨学金(大学院)を全額免除になっている、そういう話半分程度に読み流していただければと思います。
結論だけ書いておくと業績的にはこんな感じでした。
- 国内発表:5回
- 国際発表:2回
- 英語論文:1本
- 受賞:1回
- その他社会貢献活動など(これを書いている理由は後述)
私はこれだけの業績を当時積み上げていましたが、ことの発端はどれくらい頑張れば奨学金を免除になるのだろうか?と気になったことです。大学院時代の話なので数年前の話です。
学生支援機構のサイトには以下のように記述されています(当時)。
大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度
”特に優れた業績”ってなんやねん!という感じでこれについては結構曖昧で個人で残してくれている方がいないなぁと当時は思いました。なので、後進の学生の参考になればいいなと思ったため書くことにしました。
ただ、この記事を書くのに抵抗が少しあったのが、ただの自慢話にしかならないのが嫌だったからです。それで一度この記事を書くことを辞めたのですが、最近大学院の5年一貫制度についての検討が文部科学省から発表がなされ、ふと大学院に進むことについて残してもいいかなと思った次第です(参考:https://www.mext.go.jp/content/20250930-mxt_daigakuc01-000045082_02.pdf)。
こんな業績でどんな感覚で取り組んでいたかやこの奨学金のあれこれの思い出話を残しておこうと思います。
目次
(当時の)制度の内容
そもそもこんなことを調べる方はご存じだと思いますが、この制度について簡単に書いておきます。あくまでこれは私が制度を利用した年の話なので、今の制度とは違う可能性があることに留意したください。正しい情報は日本学生支援機構(JASSO)のサイトを見ましょう。記事を書いている2025年時点では私のときから変わっていないように見えます。
奨学金には第一種(無利子)と第二種(有利子)があり、制度の対象となるのは第一種の奨学金の方になります。免除制度については半額と全額の二つがあり、これは業績によって区別がされます。
また、大学側から”特に優れた業績を上げた返還免除候補者”として推薦された人の中から免除対象者を決定するため、大学から学生支援機構へ推薦される必要があります。
なお、学部時代に奨学金を借りていた人は世帯収入の制限とかあるのでは?と思われるかもしれませんが、大学院の場合は自分個人の収入で判定されるため、個人事業で結構な利益を上げているというような外れ値の方以外は奨学金を申し込むことができます。無利子なのに免除になる可能性まであるので、基本的には申し込んだ方が得です。あとで一括返済もできますし、何も怖いことはありません。
免除対象になるには
これは学生支援課的なところから聞いた話ですが、基本的には大学ごとに免除を受けれられる人数が決まっています。それはそうですよね、東京大学と他の大学で全て一律同じ人数や割合だとさすがに不公平なのは明らかなので。
全額か半額かの内訳があるかははっきりとした回答が得られませんでしたが、例年何人程度みたいな言い方はされました。ここもおおよそ決まっているかもしれませんが、憶測の域の話です。
さて、大学で人数が決まっていることが疑わしい人もいるかもしれませんが以下のサイトとデータを見てください。
-日本学生支援機構(JASSO)-
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/gaiyo.html
これは調べてぱっと出てきた2024年度の免除状況のものですが、基本的には大学から推薦をされた人は半額なり全額なりをほぼ確実に勝ち取れていることがわかります。つまり、大学から推薦される=ほぼ何かしら免除なので大学側はそれを把握して推薦人数を決める必要があるので、上記の事実を裏付けているともいえるかと思います。
というわけで、免除されるためには大学から推薦してもらえるような業績を目指すのが返還免除制度を利用する上では一番大事になります。
私の在籍していた大学では学会発表の回数や論文の本数が学内で点数化されているらしくそれで決まっていました。なので周囲は業績ポイントなどと呼んでいました。
周囲の話を聞いている限りだと大学別で基準があるはずなので、自身の在籍している大学に相談すると答えてくれるかと思います。
つまりライバルは同期
教員から話を聞いたなんて人もいるかと思いますが、ライバルは同期になります。
ここまでで書いたように、大学から学生支援機構へ推薦される必要があり、その人数は決まっています。なので、この枠を同期で取り合う椅子取りゲームです。
なので、なんの比喩表現でもなく同期がライバルであり、ライバルの成績で免除が受けられるかが変わります。つまり、例年は大学の推薦枠を勝ち取れるような成績であったとしても、同期が非常に優秀だった場合は受けられないということなのです。
私が最初に挙げた業績で行けたというのは、あくまで私の世代はこの程度の業績で勝ち取れたというだけの話なのです。あくまで大学内の椅子取りゲームに勝っただけに過ぎません。
全額免除と半額免除の差は何か
そもそも全額免除と半額免除について大学ごとに人数が決まっているかというのは私は知りません。なので以下は全て憶測の話です。しかし、この部分は他大学も含めて相対的なのかなと総合的に思いました。認定結果の概要を読んでみると以下のようになっています。
各大学から特に優れた業績を挙げた返還免除候補者として推薦のあった7,793名について、学識経験者からなる業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て、返還免除者7,786名を認定しました。
こういうプロセスを得ているのであれば、何かしらのルールに基づいて全額が半額を決めていそうな気がします。あとは学生支援課的なところに聞いた、「全額免除は例年何人ぐらい」のように伝えられたのはこの部分は大学側に通知されていないからなのかなと思いました。
何かしらのルールに基づいて決められているとすれば学生支援機構に出す書類に乗せる内容が考課対象になっていると考えるべきです。そして、大学の推薦から先はその年の推薦者の中で戦うことになるのかなと思います。
研究業績で表彰されて卒業したので、同期の中では研究業績は優秀だったことは客観的に間違いはないですが、これはあくまで学内の序列の話であって外では関係ありません。そこで他の大学と比較する要素としての研究業績になるはずです。そして、それ以外にも授業支援(TA)や研究に関する社会貢献活動について報告するよう大学側に求められました。
なので、単純に学会発表だけでなく、その他学生生活についても考課の対象になると思われます。最初に挙げた以上の業績を上げている人は他大学の同期にも多くいたはずですが、それ以外も含めて総合的に判断されていると考えておきましょう。そういう意味では研究業績が微妙でも全額免除となる可能性もあるのかもしれません。
ちなみに、私が大学に報告を求められたのは
- TA・SA
- サマーキャンパスの支援
- 研究関連の展示会の説明員
あたりは指定があったので報告しました。その際に実際に参加した証明を求められたりしてかなり面倒だったので、こういった活動に参加される場合は、どこかに名前が残るやり取りをお勧めします。私の場合は展示会の説明員として赴いた際には、私の名前がやり取りとして残っていなかったものがあり、参加した証明が面倒になったのでご参考までに。
というわけで私は研究業績以外にもこういった活動にも力を入れていたのもあって全額免除となったのかなと思ってもいます。本当は業績が大半でそれで十分だったとかあるかもしれませんが、そこは学生支援機構のみが知る話です。
まとめ
学生支援機構の第一種奨学金(大学院)の免除は大学で基本的に人数が決まっているため同期がライバルになります。そして、大学から推薦される必要があるので、学内の選考を勝ち抜くことが第一歩、そして全額免除のためには研究業績は当然ながら、それ以外の活動も頑張っておくと全額免除となれるかもという話でした。
私はそれなりの業績だったと自己評価していますが、全額免除だったのは業績以外の部分も大きかったのかなと思います。余談ではありますが、私は学生支援機構以外からも大学側からも給付型の奨学金をいただいていたので、大学院に進学したにも関わらず収支としては結構なプラスでした。こんな人もいるので成績に自信がある方や、
あくまで一個人の体験談ですが、大学院進学を考えている方の参考となれば幸いです。