AlibabaのRFQを使って金属のオーダーメイド部品を作ってもらった話

タイトルの通り、Alibabaでオーダーメイドの部品を作ってもらったという話を残しておきます。少し前の話なので少し曖昧な部分もありますが、気になっている方もいるかと思いまして。オーダーメイドといっても、個数的には量産の個数です。頼んだのはステンレスの線材の曲げ加工です。これをなぜ国内ではなくAlibabaで発注したのかや、流れ、品質はどうだったかなどの話です。珍しい経験だと思うので、記事にしてみようと思った次第です。自分で作ったものを販売してみようという流れで行ったことですが、個人的には良い経験だったなーと思っています。

中国で部品を発注する理由は色々あると思います。例えば国内では高価だったり、作ってもらえなかったり、珍しいケースだと精度が思っていたようにいかなかったりですね。私の場合は最初に見積もりしたところが個人の対応を渋っていたので辞めて、次に見積もりしたところは精度的に問題があったため辞めました。その後も何件かやったのですが色々やっていると、個人の仕事を受けてくれるのかを確認してから見積もり依頼というのが面倒になってしまい、いっそのこと中華に投げてしまおうというのが私の場合はきっかけです。

中華になげるといっても個人で逐一工場を調べてお願いするのか…?それならやはり国内の方が楽なのでは?なんて思って調べていきついた先がタイトルにあるAlibabaのRFQです。Alibabaは卸売りで大量購入ででよく利用するイメージがあったのですが、基本的には工場と直接やりとりできるのがAlibabaの特徴とのこと。さらにAlibabaの一つのサービスであるRFQは工場の人たちが見ている掲示板に書き込むことで、簡単に一括で見積もりを取ることができます。これを使えばそもそも作れる業者からしか連絡はこないですし、今までの面倒ごとが全て解決します。強いて言うなら英語でのやりとりになりやすいと思うので、その点が難点かもしれませんが、一部には日本語でやり取りできる業者もあるので、そこらへんは選び方や使い方によると思います。

そんなAlibabaのRFQを使った話が今回の内容です。

目次

AlibabaのRFQについて

先ほども書きましたが、AlibabaのRFQについて簡単に書いておきます。

RFQはAlibabaのサービスの一つで、フォーム内に条件や図面などを書き見積もり依頼を出します。すると、その内容が工場の人がみる掲示板的なところに掲載され、可能な業者から見積もりがメッセージで届くので、そのなかでやり取りしたい業者にメッセージでやり取りして詳細を詰めていきます。これらをまとめた簡単な流れはこんな感じです。

  1. RFQの見積もり依頼を出す
  2. 複数の業者から見積もりが届く
  3. 業者を選ぶ
  4. 詳細を決める
  5. 製作等の作業
  6. 製品の到着

となります。代金の支払いは詳細を決める際に全額先に払うか、半分先に払うかみたいなのを決めるので、それに合わせて途中のどこかで行います。私の場合はPaypalを経由したのもあり、全額先払いにしました。そこらへんは業者の信用にもよると思うので、業者のレビューをよく見ておいた方が良いですね。やり取りを私は全て英語でしました。高校の簡単なレベルができれば問題なかったと思います。

RFQを出してみる

RFQを出すのは英語ですが、翻訳機を使えばできる程度でそんなに難しくありません。RFQを出すにはMy Alibabaのページに行き「Buying Leads」のページを開き、タブで「My RFQs」を選び「+ Post an RFQ」で情報を記入します。

RFQに必要なのは以下の6つの情報で構成されています。最後のDetailは場合によって違うのでなんとも言えませんが、製品に合わせて記入することは違います。

  1. Product Name(製品名)
  2. Select your badget range(予算の範囲)
  3. Category(カテゴリー)
  4. Sourcing quantity(数量)
  5. Trade Terms(取引条件)
  6. Details(詳細)

最後のDetail以外は簡潔に指定します。製品名は自分のつけた固有の名前ではなく一般的な名前を書きましょう。例えば、「Metal bookshelf(金属の本棚)」みたいな感じですね。後は金具なんかも何かに使う金具という書き方ではなく必要な作業を含んだ名前にするとわかりやすいです。例えば特注の直角曲げ部品が欲しければ、「Right angle to operate ~」みたいな方が良いです。適当に訳したのであっているかは知りませんが。

Select your badget rangeは予算を指定します。あまり低すぎると見積もりが来ないかもしれません。

Categoryは自分の思ったジャンルで出せばよいです。あまりに違うと勝手に修正されたりします。私も最初は選んだものと違うカテゴリー分けられていました。

Quantityはそのまま数量をしていします。よくある発注ミスの元である「Pairs(組)」だとか「pcs(個)」のように単位がはっきりとしていてわかりやすいです。こちらの指定を間違えないように気を付けましょう。

Trade Termsは後の交渉でもなんとでもなるので、FOBにしておけば良いと思います。特別指定したい考えがあるならそのようにしたら良いです。

Detailsは詳細を記述します。考えられるものだと素材や色や表面仕上げ、公差について等でしょうか。備考なども書くと良いでしょう。私は備考として、ハンドメイドで作っていた部品だから多少の寸法変更は相談してと書いておきました。後はCADで図面を引いていたので図面を添付しておきました。

これらを機械翻訳を駆使しながら書いたら誰でもできるかと思います。

上記すべての欄を埋めて「Invite suppliers to quote」したら承認されるのを待ち、承認されたら工場の人たちが見る掲示板に掲載された状態となります。

複数の業者から見積もりが届く

RFQが通ってから1週間以内にはある程度見積もりが届くと思います。他の人だとすぐに溢れんばかりの見積もりが来たようですが、私の場合は比較的レアな工作機械が必要なものだったので、10件ぐらいしか来ませんでした。

見積もりは非常にシンプルなもので○○USD/Pieceみたいな感じで1個当たりいくらかできました。

少し気になったのが、数量を100個として見積もりに出したのですが、MQO(最低発注数量)が5000個からのところなどがRFQで見積もりがきたところですね。当然数量が多い方が単価が安くなりますが、それを差し引いても過剰な数量ですね。おそらく予算内に収まるのであれば個数は無視して見積もりが送れる仕組みなのかもしれません。

ひとまずMQOを見ながら数量的にも価格的にもあっている業者を絞ってから業者選びを始めます。

業者を選ぶ

選ぶ際はAlibabaの業者の情報を見ながら考えます。業者のアカウントのレビューを参考にしつつグレードがGold Supplierなどでしっかりと認証されていれば問題ないと考えられます。Alibabaにおいて一定の信用を勝ち取っているということですからね。信頼できる業者に絞ることが業者選びのスタート地点です。

業者を絞ったらコンタクトを取っていきます。その際はMQOや製品の精度等、RFQのDetailにあったようなことが本当にできるかなどを確認しながらメッセージでやり取りをします。

そのなかで良いと思った業者に発注を行いましょう。断る場合は丁寧にお断りしておきましょう。今後お世話になることもあるかもしれません。

詳細を決める

業者を決めたら、しっかりと詳細を詰めます。この図面のものができるのか、検査はどうするのか、どんな工業基準に従うのか等ですね。今回の私のようなハンドメイド品の置き換えだとそこまで工業基準なんて考えていないので、「図面通りにお任せにします」や「表面仕上げもこういう感じであれば特に指定はない」、などを書きました。

それ以外には期日や発送方法、支払い方法などを確認しておきます。後は支払いなども必要なら行います。

相手側から交渉があることもあります。私の場合は、「寸法が不安だから数個だけテスト部品を送ってもらうことはできないか?」と聞いたら、「素材の発注の関係で数個作るのも100個作るのも差がないよ」と言われました。また、「もっと多くの数量でも素材の都合で少しだけプラスで済むけどどうか?」といった提案も受けました。

悪い提案だと思わなかったので、倍以上の数量を注文することにして、FOBとしたためお金を送り、ひとまずは終わりです。支払いにはPaypalを使いました。

一連の作業が終わって発注を済ませたら後は待つのみです。

到着まで

しばらくは作製作業中になるので音沙汰のない期間が続きますが、ひとまず出来上がると写真と動画が送られてきました。「こんな風にできるけど大丈夫か?」といった内容でした。「見た目じゃわからないけど問題ないと思う」と返信して翌日にはクオリティチェックシートが届きました。ISO2768-Mで作ったことや、図面に対しての実寸法が乗っていました。自分で設計したものがここまでしっかりチェックされているとテンションが上がります。

国内では精度が悪すぎたため、寸法誤差はどの程度か気になっていたのですが、チェックシートを見る限り相当高精度でした。ISO2768-M基準で作ったようですが、その10分の1以下で収まっていました。品質としては良すぎるくらいで感動しました。

クオリティチェックシートも確認した旨を伝えて到着を待ちます。

後は実物がどうなのかは到着してみないとわからないので、待っている間はどきどきです。ちなみに、発注してから製作までは私の場合は5日で連絡が来ていました。

かなり余裕を見て納期を伝えていたようで、そんな早くに連絡がくると思わなかったため、最初メッセージを見逃してしまいました。そのため連絡が遅くなり、最終的に発送されたのは1週間後でした。しかし、発送されてから届くのは早いもので5日ほどで届きました。DHLでの発送だったため関税を払いました。以前は手渡しでやっていた気がしましたが、今回は事前に払えと言われてクレジットカードで関税を払いました。

ちなみに、個数が多いの、傍から見ればよくわからない部品なのでDHLから何に使う部品なのかの確認の電話が来ました。

電話が来た翌日にはこんなパッケージで家にやってきました。

いつもの中華パッケージ感

よくアリエクでも見る独特の黄色のテープでぐるぐる巻きにされた段ボールでやってきました。数量が多いので一部だけですが、確認を行ったところ部品の精度はかなり良かったです。また、業者側のクオリティチェックシートを見る限り、検査ではじかれた物もなかったので安定しているのでしょう。

国内では精度的にダメそうだったのに、海外ではかなり精度よく作れているということでAlibabaのRFQには大変満足でした。本来なら国内でも良いと思うのですが、価格面を考慮すると難しかっただけに嬉しい誤算でした。

まとめと感想

AlibabaのRFQを使ってみました。紹介した通りでそこまで難しいことでもなく、やり取りについてもそこまで難しい英語でなくても大丈夫なので割と誰でもできるという印象でした。

また、実際に作った感想としては価格も安く、制度の良い部品を作ってもらえることや、クオリティチェックなども含めて対応がしっかりしていたので非常に満足しています。支払もPaypalやクレジットカードが使えるところが多いのでやり取りしやすいのも魅力だったと感じました。やはり何といっても、一気に全体に対して手軽に見積もり依頼を出せるのは非常に楽でしたね。

このような感想を踏まえてAlibabaのRFQについてまとめます。

  • 一括で見積もり依頼ができる
  • 英語も簡単な英語でOK
    • 日本語でやり取りできる場合もあり
    • 機械翻訳でも十分通じる
  • 国内ではできないような案件でも相手が見つかる
  • 価格も安い(競合が多いため)

こうしてメリットまとめてみると、発注する側の気持ちをよく考えられた仕組みだなと感心しました。

もし安価に大量生産してみたい、国内では相手にしてくれない等があれば積極的にすると良いと思います。

以上です。お読みいただきありがとうございました。

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カテゴリー: 雑記

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