Ryzen 9 3900Xを使い続けた長期レビュー。世界を驚かせたHEDTに匹敵するフラッグシップモデル。Zenからの振り返りも少しだけ

サイトの管理人のTHUNです。今回はAMDがキャンペーンを開催しているのでRyzen 9 3900Xの簡単なレビューも兼ねて感想を書いていきたいと思います。

皆さんはZen2の発表の時の会場の沸き具合を覚えていますか。私はいまだに忘れられないのですが、やはり当時発表された圧倒的ベンチのスコアなどが驚きを後押ししていましたね。

当時のAMDは初代Zenアーキテクチャを発表したときは前回のブル系の失敗もあり少し信用されていなかった節もあったと思います。

ですが、Zenアーキテクチャを採用したプロセッサーが世に出回るとたちまちこれは「本物」だということで久しぶりのAMDの復活に世界は沸きましたね。

だた、そのときでもまだまだHaswell程度(当時の最先端は6000系だったはずなのでSkylakeアーキテクチャでしたっけ)だったので、Intelに追いついたとは言い難かったものの、世界を驚かしたのはその性能でありながら8コア16スレッドの製品を一般向けとして販売したことですよね。それでいて値段もCore i7シリーズと変わらない程度

シングル性能は及ばないにしてもコア数で差をつけるというスタイルで一世を風靡したわけですね。当時のIntelはCore2 Quad時代から長らくメインストリーム向けは4コア8スレッドなんてものを引きずっていたわけですから、我々消費者へのインパクトは完璧でした。

この時点でのRyzenのイメージは、「安く、シングルスレッドは一歩及ばないけど高性能なメニーコアCPU」というイメージでした。

そして翌年のZen+は世間からの評価は微妙でしたが着実な性能アップとプロセスルールの微細化による省電力化も注目されていました。

ここで発売の1年前ぐらいでZen2の足音が噂で聞こえてきていましたね。ほぼ間違いなくTSMCの7nmプロセスを採用してくる。ここは間違いなかったのですが、当時は今までならだれも信じなかったであろう「IPC13%以上アップ」なんて噂が流れていました。

これが本当ならSkylake系のコアをぶっちぎる性能になるわけで、いたるところからガセだとか言われていましたね。一方で、初代Zenの勢いを見た一部の人からは本当にあるかもしれない、そんな声も上がっていました。

そして1年後さらに期待を上回る、AMDにとってもIntelに完全勝利をし、メインストリームに12コア24スレッドの世界最速のゲーミングプロセッサーとしてZen2アーキテクチャ採用の「Ryzen 9 3900X」が発表されました。

8コア16スレッドの驚きは大きかったものの12コア24スレッドを8コアの2年後にメインストリームにもたらし、さらにそれでいて499ドルという凄まじいコストパフォーマンスのCPUでした。しかもそれ以外にも初めてのPCIe Gen4の採用やIOダイを用いたマルチチップレット構成などいくつもの新しい仕組みを採用し、IPCはなんと整数演算ですら15%の向上を果たし一部の演算ではそれ以上伸びるという化け物っぷりでした。

私はこの発表をリアルタイムで見ていたのですが、16コア32スレッドになるかもなんていわれていただけに少しがっかりしましたが、圧倒的に低いコストと高い性能に一目惚れ、私はこの発表を見たときに発売日に買うことを決意しました。

そして発売日、2019年7月7日19時。私はなんと仕事で買いに行けないという事態に。これは買えても通販と思ったのですが、19時過ぎまで仕事…そして結局買おうと思っていたドスパラのサイトでは買えなそうで意気消沈だったのですが、なんと20時ぐらいにサイトを見たら在庫が復活しているではありませんか!すぐに購入して無事2日後には3900Xが届きました。

当時の写真

箱の圧倒的しっかり感といい気合の入りようが他と違いました。そしてこれが世界初のRyzen 9の称号をもらったプロセッサーなわけですね。

なんとなくとっていた封のシール

さて私は以前にRyzen 3 2200Gを使っていたので初めてのRyzenというわけはないのですが、性能の向上や安定性は気になっていました。

なんせマルチチップレットだったり、PCIe Gen4だったり色々新しい技術を積んでいるわけですからね。なんなら不具合がある可能性だってあります。

しかし、結果からいうならこんな不安は杞憂に終わりました。うたい文句通りの高いシングルスレッド性能に、圧倒的なマルチスレッド性能。そして安定していました。

私は買って1か月後に海外に1か月ほど滞在する予定があったのですが、その間に性能や安定性を図るために動画のエンコードをさせていました。

超大型CPUクーラーをつけているとはいえ、温度も高くなりすぎず、それでいてまさかのHEVCエンコードでエンコーダーが処理しきれないほどのスレッドの量に驚かされました。1本しか動画をエンコードしないと60%ぐらいまでしか使用率が上がらないほどには余裕です。

そして1か月間スリープして自動で立ち上がってというのを繰り返しましたが全然問題はありませんでした。負荷の高い処理をさせていたのでここも問題なかったといえるでしょう。

ゲームもしましたがコア数を使い切ることもなく、負荷も綺麗に分散しています。古いタイトルでも一部に負荷がかかってもブーストでパフォーマンスの向上を図っているのも素晴らしいです。

何をやっても余裕があるこの性能、そして安定もしている。それで当時の定価で6万5千円ほど。全くと言っていいほど文句のつけようがありません

メモリコントローラがあたりだとメモリをどこまでクロックが挙げれるとか、CCDが当たりだと価値があるとか当時は騒がれていました。初期ロットの方がいいとか。

私のは初期ロット「1925 SUT」でメモリコントローラは少しあたり、CCDは大当たりみたいな非常にいいものを入手できました。私が手にしたCPUの中では最も高い満足度です。

初期ロット1925SUT

後継のryzen 9 5900Xなんて、今でも入手困難で性能こそ上がったものの定価も上がってしまい、少しコスパの面では微妙になりました。

たった6万5千円で一時期のHEDT(HighEnd DeskTop)に匹敵するほど高性能CPUが入手でき、安定もしていて当時のIntelに完全勝利して見せた性能。

なんなら当時の完全勝利とまではいかないにしても、Intelの現行世代のメインストリームのトップ、Core i9 10900Kに対してもシングルスレッド以外は勝てるほどに優秀です。

もうすぐ発売から2年が経ようとするこの時期でもまだ競合のトップと真っ向勝負ができるほどのCPU…私にとっては今でも最高のCPUで今後も長く付き合っていきたいものです。

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