TOSHIBA DT02シリーズの4TB HDD 「DT02ABA400-2YW」のベンチレビュー。SMRだけどWDの代わりになるのか。録画マシンに使ってみます。注意点もあり

最近HDDを購入することになりました。というのも、私の投稿をみてもらえばわかるのですが、DTV環境を構築していて、録画用にHDDを追加したかったからですね。

録画環境なので、そんなに速度が必要なシーンはないのですが、求めるのは耐久性と安定性です。

なので、色々考えた結果いままではWestern Digitalの「WD40EZRZ-RT2」という製品を使っていました。CMRで安くて信頼のメーカーであるというのが決め手でした。

しかし、つい最近までは市場にあふれていて普通に購入できたのですが、HDDマイニングが登場し一時流行したときに流通在庫が借りつくされ、後継機のSMRのモデルしか購入ができなくなりました。

後継機っていうのはこいつですね。お値段自体はそんなになのですが、SMRになったのが最も痛いです。SMRとは何ぞという方も説明をしているので是非読んでいってください。

店頭に行っても購入ができなそうだったので、おとなしく代替品を探した結果今回レビューする、TOSHIBAの4TB HDDの「DT02ABA400-2YW」を購入することになりました。Amazonのリンクだとこの製品です。製品説明によると国内正規代理店品だそうです。

ではレビューしていきます。

目次

録画用に選んだ理由

まあ色々理由はあるのですが、まず理由としては安いということですね。NAS用とかで安定して早い製品も存在しますが、私は面倒でエンコードをしないのもあって、3か月に1回のペースでHDDを入れ替えています。

なので、少しでも安い方がありがたいというのが一番の理由です。

あとは、Seagate製やWD製のも選択肢として考えましたが、SMR(これについては後述)であればSeagate製が一番信用はあるかなと思っています。SMRの先駆者ですからね。それに対して、SMRに関してはSMRのものの評価は固まっていないので何とも言えない。

ここでいうSeagateのHDDはBarraCudaシリーズのこちらの製品ですね。

そしてWD製というのはこちらのWD Blueシリーズ。

しかし、Seagateと言えばHDDの不良率が高いことで悪名を馳せた時期があり、個人的な心象として使いたくないメーカであるというのがありました。

そこで目を付けたのが東芝のものでした。一応国内メーカーであるというのもあって、結局は使ってみないとわからないということで今回は東芝を信用して使ってみることにしました。

一応、私はUSB接続タイプのHDDでTOHSIBAのを一つ所持していて現在も使用中なのですが、こちらも文句なく使えているというのも判断材料の一つにしました。2年ほど前に購入しましたが、モデルなども変わっていないみたいです。

デスクトップPCに2年ぐらいつなぎっぱなしで問題ないので信用的にも問題ないかもと考えています。ただ、こちらの製品には録画対応みたいな書き方をしているので、耐久性にある程度焦点を合わせて作っている可能性も否定できないので、今回レビューするHDDと同列に語っていいかは怪しいところです。

メーカー公式スペック

さて、はじめに製品の公式スペックを確認しましょう。メーカ公式サイトは以下です。

https://toshiba.semicon-storage.com/jp/storage/product/internal-specialty/pc/articles/dt02aca-series.html

このページはDT02シリーズのサイトなので、4TB版のみの専用ページというわけではありません。

さて、このサイトにかいてある特徴を引用して書き出しておきますす。以下のようになっているそうです。

  • 最大6 TBの容量
  • 3.5型
  • ディスクの回転数5400 rpm
  • SATAインターフェース 最大6.0 Gbit/s
  • 512eのアドバンストフォーマットテクノロジー
  • Drive-Managed SMR (瓦記録) 技術

さらにこんな表も掲載されています。

フォームファクタ―3.5型
インターフェースSATA 6 Gbit/s
フォーマット512e
バッファサイズ128 MiB
ディスク回転数5400 rpm
最大データ転送速度176.4 MiB/s
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/storage/product/internal-specialty/pc/articles/dt02aca-series.htmlより

堂々とSMRと書いていますね。SMRについては例によって後述します。後は至って

普通のことを書いています。しかし、速度の記述が適当です。これが読み込みなのか書き込みなのかもよくわかりません。東芝製はこんなあやふやなスペックのものが多い気がします。ここは製品としてどうなのと思うことが多いです。如何にも日本企業らしい言い逃れする気満々の書き方で少々気になります。

前にレビューを残したKIOXIA(旧東芝メモリ)のSSDも同じような感じだった気がします。それについては以下のページなので、SSDも気になるという方はよろしければどうぞ。

あとはHDDにしては珍しい気もしますが、MTTFの記載があります。以下のように書かれています。

MTTF(平均故障時間)は100万時間です。電源オンが年間2400時間(平均HDA表面温度:40度以下、ワークロード年間55TB)を前提としています。HDA表面温度が40度を超える場合、製品の信頼性が低下し保証期間が短くなる場合があります。

https://toshiba.semicon-storage.com/jp/storage/product/internal-specialty/pc/articles/dt02aca-series.htmlより

これが長いのかどうかなどは判断がつきませんが、数字を見た感じだと私の用途なら全然問題はありません。倉庫ストレージとしても頻繁に読み書きするような形でも十分そうな気がします。MTTFは目安でしかないので、あくまで参考程度にしかなりませんがね。

ところで、このサイトにはもう一つ珍しいことが載っています。消費電力についてですね。

記憶容量消費電力( アクティブアイドル時 )重量 ( Max )型番
6 TB2.68 W680 gDT02ABA600
4 TB2.32 W650 gDT02ABA400
2 TB2.11 W440 gDT02ABA200
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/storage/product/internal-specialty/pc/articles/dt02aca-series.htmlより

消費電力と重量が載っているのは珍しい気がします。RaspberryPiに接続するとか、NASに接続するとかで消費電力に何かしら制限があるときに気になる項目なので何かとありがたい情報です。こんなこと載せるならもっと速度のことを細かく掲載してもらったほうが助かるのですが…

あとは重量なんかが掲載されているのは珍しいですね。重量をみて何がわかるかと言えば、一般にはプラッタの枚数でしょうか。ただ、ラインナップの容量の間隔はそれぞれ2TBずつなのに、それぞれ重量の変化が異なるのは気になりますね。

2TBから4TBならプラッタが増えたんだろうなで終わりなんですが、4TBから6TBからは30gほどしか増えていません。この重量だとプラッタの枚数は変わっていない気がします。何が重量差に影響しているのか謎です。実は6TBだけ磁気ヘッドが別物で重量が重いとかですかね…

あとは、次の項で説明しますが、SMRについての技術回折が掲載されています。結構専門的な言葉で書かれていて少し小難しい書き方がされています。詳しく知りたい、予備知識があるという方は読んでみてもいいかもしれません。以下のページに掲載されています。

https://toshiba.semicon-storage.com/jp/storage/product/articles/what-is-smr-technology.html

SMRとは?

ちょこちょこ出ていたSMRというものの説明をしましょう。ご存じの方も多いかと思いますが、そんな方は読み飛ばしてください。

全く知らない方にもできる限るわかるように書いていますので、今後のHDD選びの参考にしてみてください。

では、ここで何度か出ていた、プラッタやSMR、CMRについてお話します。

まず、簡単にHDDの構造について説明します。HDDとはそもそもHard Disk Driveの略でその名前の通りDisk Driveなんです。

どういうことかというと、HDDの中にはプラッタと呼ばれる金属のコーティングがされた円盤が入っています。イメージとしては進化したCDみたいなイメージですね。もちろん本当は全然違うものですが、理解をするにはこの程度の認識で十分です。

このプラッタと呼ばれる円盤に磁気を使ってデータを記録します。CDのイメージだとレーザーを当てて記憶する一般に「焼く」と呼ばれる工程ですね。

さて、この記録の方法なのですが、円盤に磁気を使って記録すると書きました。簡単に言えば磁石の力です。皆さんは磁石をご存じだと思いますが、砂鉄とかで遊んだことはあるでしょうか。砂鉄をばらまいて磁石を近づけると、広い範囲の砂鉄が集まってきますよね。

これと同じことがプラッタ上でもおきてしまいます。横から見るとこんな感じです。

横から見るとこのような感じになっています。HDDに根本的な仕組みは結構簡単です。

次にこれを上から見てみましょう。今回は磁性体なんて言葉で書きましたが、簡単に言えば磁石が通った範囲だと思ってください。

このような感じで、実際に磁気ヘッドと呼ばれる磁石が通った場所よりも、広範囲の部分にデータが記録されてしまうのです。従来まではこのような方式を用いており、これをCMR方式と呼んでいました。最も古典的なタイプのHDDの仕組みですね。

本当は磁性体の通ったところだけ記録したいのにそれ以外の部分もデータが記録される、つまり、無駄な部分が多く存在しているということなります。

この無駄な部分を無くそうと考案されたのがSMR技術、または瓦記録技術というものになります。どのようにこれを実現するのかというとこれも簡単で、以下の図のようにします。

重ねて記録

少し図だとわかりにくいのですが、スケールは先ほどの図と同じようにしてます。すると、緑の部分が小さくなっているのがわかるかと思います。

これは何をしているかというと、重ね書きをすることで、無駄な部分減らしています。これが瓦のように重ねているように見えることから瓦記録技術なんて言われているわけですね。仕組みも上書きするだけなので至って簡単です。

ここでHDDがどんな動作をしているかを思い出してみましょう。

皆さんはデータを追加する以外にも削除や、書き換えも行いますよね?気づかれた方もいるかもしれませんが、このSMRだと書き換えの場合が面倒なのです。

上記の図の緑色の一番最初の緑色の部分を見てみましょう。この部分を書き換えようと思うとどうした良いでしょうか。

答えは「緑の部分のデータを書き換えてから、もう一度オレンジの部分を記録する必要がある」です。

つまりデータを書き換えるには他の部分まで書き直しを行う必要があるのです。これがSMRの最も致命的で大きな問題点です。

このデメリットを解消するために、SMR方式のHDDではキャッシュの容量が大きめになっています。これはSMR方式かどうかを公表していないメーカで方式を見破る方法の一つとしても有名です。

一般に、128MiB以上のキャッシュを持つのはSMR、64MBのキャッシュを持つものはCMR方式であることが多いです。

このキャッシュがあるおかげで、SMRのデメリットをなるべく目立たないように工夫をしているのですが、このキャッシュが足りなくなるような大容量のデータを書き込むと、一時的に大幅な速度低下が起こるということが言われています。因みに、今回のレビューではその挙動も確認できました。

これだけSMR方式は色々する必要があるために、はっきり言ってしまえば、容量や値段が許すのであればCMR方式の方が性能的に間違いなく良いものになります

CMR方式とSMR方式では仕組みが違うが故に絶対に超えられない壁が現状は存在していて、その結果がCMR信仰であり、SMRが一部に嫌われている所以です。

因みにSMRのメリットですが、安価に大容量化が見込めるというのがあります。理由としてはプラッタ1枚当たりの記録容量が増えるので、プラッタの枚数を減らしたり、限界まで積んだときに最大容量が大きくできるからですね。

しかし、現状ではSMR方式だからと言って安価な価格でHDDが販売されているわけでもなく、ユーザーからすればただ性能が下がったHDDをお値段そのままで売られているなんとも嬉しくない状況です。

だからこそ、SeagateのBarraCuda(SMR)と同じくらいの値段で売っていた、WDのWD40EZRZ-RT2はCMRでメーカ的に信頼もできた最高のHDDでした。それだけ廃盤なのは非常に悲しいもので、代替品を探すのも難しいわけです。

これでSMRの欠点、利点についておわかりいただけたでしょうか。まあ我々ユーザーからすると値段も安くならないのでデメリットが大半なんですけどね。

ちなみに、CMRの製品自体は全く存在していないわけではなく、NAS用や録画用という名目で値段が吊り上げられて販売されています。もし金額的に許すのであれば、信頼性の観点からもこちらをおすすめします。

Seagateの場合はこちらです。SkyHawkシリーズです。

WD製だと現行製品だとなさそうです。かつてWD RedシリーズでCMRとSMRのものが混在しているとかそんなニュースで問題になっていた気がします。WD RedはNAS向け製品ですが、これも残念ながらSMRです。

東芝のものだと、NAS用などではありませんが、CMRのものがあります。値段差はなんと6,000円程度もあります。

どうしてみCMRものが良ければこういう選択肢もありますし、長期的に使うならこちらのCMR方式の方がいいかもしれませんね。私は録画でガンガン交換していくのであまり気にしません。

パッケージの写真

さて、パッケージの方を一応掲載しておきます。ここが少し気を付けたい内容も含まれています。

また、この記事の最初のほうでも書いていますが、あらかじめお断りしておくと、今回購入したのはこちらの国内正規品です。Amazonで購入しました。取り扱いもAmazonでした。

さて、AmazonのHDDの梱包が雑なのはいつも通りですが、中身の方を見ていきます。

まず外箱ですが、なんとほぼ無地の段ボールです。コストカット極めりといった感じですね。WDの鮮やかな青色の梱包ぐらいまで行かなくても国内正規品なのだからもう少しなんとかしてほしかった気がします。まあ、肝心なのは中身ですからね。このおかげでこのお値段(8,000円)ちょっとがキープできているなら許せます。

次に、箱の中を見てみます。

外箱から取り出した

外箱から取り出すと、プチプチにくるまれて、園中に帯電防止のビニールが見えます。ここら辺は他のHDDと同じくしっかり梱包されています。内容物は他になく、他のHDDにあるような注意書きの紙や保証書の類もありません

このプチプチから出すとこんな感じです。

帯電防止袋

一番気を付けて欲しいのがこの帯電防止袋です。というのも、この袋がないと保証が受けられないそうなのです。なんか保証書とかがあるわけではないので、この袋が必要なのでしょう。うっかり捨てがちなこの袋ですが、保証のことを考えると絶対に捨ててはいけません。ちなみに黒く消してあるところにはシリアルナンバーが載っています。

本体はこんな感じです。

本体が今までになくピカピカに磨き上げられています。WDはくすんだ金属みたいな感じだったのでこの鏡面反射のような綺麗さにはおどろきました。

裏面は至って普通ですが、基盤が少しシンプルな気がします。

このHDDは普通の分厚さのHDDでした。SeagateのBarraCudaとかだと3.5インチのサイズだけど厚みが薄いHDDもあったりするので、一応書き残しておきます。写真だとネジ穴のサイズ感からしか推測できないのでわかりにくいと思います。

ベンチマークと感想

DT02ABA400-2YWのベンチマーク

ベンチマークはこのようになりました。ベンチマーク上では速度も安定していますね。4GBのデータでためした感じでこれなので、比較的大きめのファイルでも問題なく使えそうです。

ランダム性能は読み書きともに普通ですかね。リードは以上に低い気がします。ゲームを入れたりするのにはおすすめできませんね。

動画など一つのファイルで大きな容量の物を取り扱うのには向いていそうです。

あとは実使用の感想になるのですが、Ubuntuでのコピー中はこんな速度でした。

実使用での感じ

NASのHDDとして接続したこの製品に、100GBほどの複数の動画データコピーしてみたのですが、最初の数GB分は90MB/sぐらいの速さでコピーできるのですが、それ以降は60MB/sぐらいに低下。さらに50GB付近を超えた時点で10MB/sをふらふらしたり数MB/sに落ちたり非常に不安定な挙動を見せました。SMRとは?の項で書いたようにキャッシュが足りなくなったせいでこのような結果になったと考えられらます。

WDのCMRの物であればこんな症状は出なかったので、やはりSMRの欠点が露呈したと言えるでしょう。まあ、1日に50GB分も取っていないのでそこまで速度が低下することがないと思うので、録画用と的には問題はなさそうです。ちなみにWDのCMR方式のHDDの場合は安定して90MB/sの速度が出ます。1Gbps接続なのでこれぐらいの速度が妥当です。

倉庫や大量のデータのコピーを利用する際は非常にストレスになるため、そういう用途の場合はおとなしくCMRの物を選ぶのが良いかと思います。

後は耐久性ですが、これに関してはなんとも言えません。東芝製とはいえMADE IN CHINAですし、どこまで信用できるかは実際に使ってみないことにはわかりませんね。まあ、だから購入したんですけどね。

あとは、こういう性能の数字には表れない音の話をさせてもらうと、以前使っていた、WDのCMRの物より音は静かです。特にスピンアップが今まではキュイーンみたいな音がなってたのですが、こちらはそんなこともなく静かに周り始めます。

もう販売していませんが、前に使っていたのはこれですね。

書き込んでいるときのおともカリカリしていますが、そんなに気になる音ではありません。これも従来のWDのものが大きかったからですね。

ただ、書き込んでいる音は静かでも振動がこちらの方が大きいです。WDのは微振動って感じだったんですが、結構こちら東芝のはカタカタしているわけではありませんが、そんなイメージで大きな振動があります。これは気になりました。

まとめ

動画データの保存用にはおすすめです。シーケンシャルの速度は50GBぐらいまでは許容できる速さで動作します。

ただ、それ以上の書き込みを連続で行うと。不安定になります。なので、録画サーバでも全録画システムなどには向きません。私は深夜アニメを撮り貯めしているだけなので、この程度の使い方なら問題ないです。

また、ベンチマークを見ての通りランダム性能はHDDらしく低めで、特にリードの方は悲惨です。なので、ゲームを入れたりするのは向きません。本当に動画みたいな一つのファイルの容量が大きいデータ向けの倉庫用ストレージといった感じです。

耐久性に関しては未知です。また何か進展があればこちらに書き込みます。

以上です。また何かあれば追記します。お読みいただきありがとうございました。

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