ハンドルの動きが渋い!!ZS41というヘッドパーツの話。ESCAPE R3のヘッドパーツの交換

ヘッドパーツというものをみなさんご存じでしょうか。フロントフォークとフレームの間にある部品で、フロントフォークがなめらかに、正しく動いてくれるようにしてくれる部品のことです。中にはベアリングが入っていて、ものによってはベアリングの交換だけでなんとかなるものもあります。

こんな内部の部品いつ交換すればよいのかという話をすると私の場合は以下のような症状が出たときに交換しました。

目次

  1. ハンドルの動きが渋い。異音がする
  2. 純正のヘッドパーツの型番やメーカー、仕様について
  3. 交換したものの不具合が治らなかった話
  4. ZS41という規格について
  5. 国内外で買えるZS41のヘッドパーツについて
  6. まとめ

ハンドルの動きが渋い。異音がする。

私が今乗っている2016年式のESCAPE R3ですが、とある雨の日に乗った次の日にハンドルまわりを回すと「パキパキ」という音と、ハンドルの動きが渋くなっていました。ゴリゴリした感じでしたね。

これはヘッドパーツを壊したなということで、部品交換しようということになりました。

とりあえず、どうせ交換はするのだし部品の選定をしようということになり、そのまま乗っていたのですが、ヘッドにガタが出始めてしまいました。さすがに早く交換したくなり純正品で交換をすることになりました。

純正のヘッドパーツ「FEIMING セミカートリッジ」とやらのヘッドパーツの型番などの話

ひとまずGIANTと取引があるので補修部品で取り寄せが可能か聞いてみると、在庫もあるしすぐに出荷できるとのことだったので取り寄せました。売値で2000円ぐらいでした。ヘッドパーツにしてはとても良心的な値段です。さすがGIANT。

ちなみに型番は「FP-H826PL」というものです。調べても今のところこのサイト以外は掲載されていませんでした。R3のヘッドパーツにFEIMINのが採用されるようになってからはずっとこの型の製品を使っているみたいですね。メーカーはパッケージを見る限りは「FEIMIN」というところです。GIANTのサイトを見ると「FEIMING セミカートリッジ」と書いていますが、本当は「FEIMIN」という会社みたいです。

ちなみに、この会社は「巨隆机械」というのが正しい名前みたいです。中国本土に本社がある会社です。英語だと「JULONG MECHANICAL」でGIANTのIDIOMシリーズのヘッドなんかと同じところみたいですね。

なぜ違う名前で売り出しているかはわかりません。会社サイトのドメイン名も"chinafeimin"って書いているので、同じ会社なのは間違いないはずなのですが…一般向けにはあまり売っていないメーカーのようで基本的には組み込まれて売られていたりします。

なので「FP-H826PL」をインターネットで買うというのは難しいと思います。探しても出てきませんでしたし。

「セミカートリッジとは?」という話を少ししておきます。「ワン」と呼ばれる部品がありその上にベアリングが乗っているわけですが、いい自転車だとここにシールドベアリングが入っているのですがR3ぐらいの普及帯の自転車だとリテーナーのものも少なくありません。

セミカートリッジはこの部分にリテーナー付きのベアリングを入れて、その上から防塵用のシールをするという構造になっています。名前の由来は知らないのですが、このゼロスタックの規格だとベアリングを交換しようと思うと、ワンを打ち換える必要があるのでのでワンとベアリングセットでの交換になるからセミカートリッジと言われているのだと勝手に思っています。

さてこのセミカートリッジタイプのヘッドパーツを交換したときの話を少しだけ。

実際に交換してみたものの不具合が治らず。

さっそく自分でお店の工具を使って取り付けます。サクッと20分ぐらいでグリスアップなどのもろもろの作業も併せて終わりました。あとはヘッドのガタが取れて動きがよくなれば問題なし!だったはずがガタが全然取れませんでした。

取れる位置までスターファングルナットを締めるとハンドルの動きが渋くなってしまう。クラウンレースもしっかり打ち込めているし、もしかしてフォークに異常があるのかも、なんて最悪のケースもふと頭をよぎりましたが、今一度分解してみてもフォークにはこれと言って異常はなかったためヘッドパーツが悪いということに落ち着きました。もしかしたら取付ミスをしてしまったのかもしれません。

GIANTに言って交換してもらうなり、もう一度注文して交換してもよかったのですが、上述したセミカートリッジというものは、正直耐久性はよくないしメンテナンス性もお世辞にもいいとは言えません。シールを開けてその中をグリスアップするという方もいますがあまりお勧めできません。シールを開けた時点で完全に元には戻らないのでそこから塵や水が浸入する可能性があります。こんなこともあるので、できればシールドベアリングが中に入っているタイプのものに変えたいと思いました。

しかし調べていると、とんでもないことが判明します。

ZS41というヘッドパーツの規格

急に「ZS41」といわれてもなんのことなのかとなると思います。ZS41はESCAPE R3やほかのクロスバイクなどでも採用されているヘッドパーツの規格のことです。メジャーと言えばメジャーな規格ではあります。似たような名前として「IS41」や「ZS44」といったものがありますがどちらも「ZS41」とは別物でR3への取り付けはできません。

タイプとしてはセミインテグラルやゼロスタック、ケーンクリークなんて呼ばれるタイプのもので、比較的マウンテンバイクで使われることの多い規格です。

ZS41の規格は具体的には上下ともにチューブ外径46mm、チューブ内径41.4±8.05、オーバーサイズ(1-1/8インチ)のフォークが合うため、コラム径は28.6mm、クラウンレース外径30.0mmのクラウンレースが合う規格になっています。

ただこの「ZS41」という規格が曲者でして、もともと1インチ用フレームにオーバーサイズのフォークを使うための風変りな規格だったためか、そもそもこの規格を採用している自転車というのは少ないです。そのため、昔から交換するための部品は基本的に選択肢が少なかったのです。そんな規格を一番メジャーであろうクロスバイクのR3が使っているのは不思議でなりません。

こんな事情もあり調べてみると、現在ではZS41という規格のヘッドパーツ自体があまり出回っておらず、日本国内に至っては通販などで気軽に買える分は1種類しか確認できません。私が知っている限りのZS41のヘッドパーツを紹介します。

国内外で買えるZS41のヘッドパーツについて

国内で買えるものは多分2種類だけしかありません。2020年現在で通販で買えるものだと1種類だと思っていいと思います。

  • BBB BHP-50 (セミカートリッジ)
  • GIANT ESCAPE R3の補修部品:FP-H826PL(セミカートリッジタイプ)

(追記:2021/1/28)このページは月に一人ぐらい見に来ればいいだろうと思っていたんですが、思いのほか人気があるので一応GIANTのヘッドパーツの箱の写真を載せておきます。ちなみに中身の写真はないです。ブログにこんなにっちな記事を書こうとは思っていなかったので…

箱の正面
箱の側面

基本お店で使用されるパッケージなので一般の方は見ることが少ないかと思いますが、小売りしても問題ないものなので掲載しておきます。2枚目の写真の文字列の真ん中の行に型番「FP-H826PL」が書いてあります。(追記ここまで)

BHP-50はAmazonにあるのでリンク張っておきます。ヘッドパーツ自体はたくさんあるので不安な方は以下のリンクなら間違いありません。製品の名前はしっかり確認してください。

ただセミカートリッジなのに5000円以上します。GIANTは通販を禁じているので取り扱いのあるお店で取り寄せれば入手が可能です。

GIANTのを買うときは、もしかしたら年式やら車体番号とかも聞かれるかもしれません。GIANTストアは決まりでGIANTオーナーにしか売らないというルールがあるそうなので、基本的にはサイクルベースあさひさんみたいなチェーン店でOO年式のR3のヘッドパーツが欲しいといえばいいかと思います。

この上記の2種類以外は国内で有名どころの問屋から探しましたが見つかりませんでした。

ちなみに、かつてはFSA No.11 AGYという同じくセミカートリッジタイプの物が出回っていましたが、今は廃盤となり入手不可となっています。海外で買うことができうるものだとあと数種類は見つけることができました。

海外通販で現在入手が簡単なものだとAliexpressで買うことができる以下の製品がおすすめです。

  • neco H179 (シールドベアリング)

Aliexpressへのリンクも一応置いておきますね。

https://a.aliexpress.com/_mse4aUp

neco H179 記事にするとは思ていなかったので取り付けた後の写真しかない…

私はこれを買ってR3に取付ましたが問題なく使えています。届いてから気づいたのですが下ワンの部品が純正のものより3mm近くも厚くなっていて高さが変わってしまうので少しだけジオメトリが変化しているとも言えます。ですが、私には違いは感じ取れませんでした。

ちなみにnecoは台湾のメーカーでペダルなども作っています。日本では有名なメーカーではないですね。

他にも入手が難しいものであれば以下のような製品があります。

  • VP-A02AC (セミカートリッジ)
  • VP-A05AC (シールドベアリング)

VP-A02ACはヤフオクで少し流通しているみたいです。運がよかったら入手できるかもしれませんね。VPというメーカーですが、ここも台湾のメーカーでペダルやヘッドパーツなど回転部品を多く作っていて比較的有名なメーカーです。ちなみにFSAかなんかのヘッドパーツのOEM生産してたりするのでトップキャップの部分にVPOOOみたいな表記があってわかってしまうときも多々あります。

まとめ

ヘッドパーツはそもそも規格として難しいですが、どの規格が合うかわかれば難しいことはありません。ですが、今回のようにあまり使われていない規格だと部品の入手に苦労します。多分これほどにZS41について種類や規格の詳細をまとめているサイトがなかったので記事にしました。ESCAPE R3がこれだけ売れているのにあまり部品がないっていうのは不思議ですね。

ちなみにことの顛末を書いていませんが紹介した「neco H179」に変更することで不具合はなくなり快適に使えています。今度ベアリングがダメになってもシールドベアリングを交換するだけなのでとても気楽に交換ができます。

交換するならシールドベアリングタイプに交換するのがおすすめですよ!

4件のコメント

  1. 古いバイクのオーバーホールで情報を活用させていただきました。ZS41規格のパーツは、リテーナーにしてもワンにしても入手が困難になってしまいましたね。組付け可能だけどスタックが高い中華製品があるようですが、ヘッド角が変わってしまいます。私はHOPE社のHSC3とHSCCをつかってIS41化しました。この製品の特長は45°アダプターが含まれており、φ41x10/90°のヘッド穴をφ41x7.5/45°に変換っできるのでIS41規格のシールドベアリングが使えるようになります。この製品の在庫も市場から消えつつあります。アダプターは、旋盤があればアルミ削り出しできますが、ホビーの範囲を超えますね。

    1. コメントありがとうございます。

      何かのお役に立てたのであれば幸いです。
      私の場合はハイトの違うワンを付けたので、微妙にヘッド角が変わってしまっていますが、ベアリング交換等の作業を考えて数ミリの変化には目をつぶることにしました。
      IS41もぱっと見使えそうな気はしており、良く調べると角度が合ってないなーなんて思っていたのですが、そんなアダプターがあるとは思いもしませんでした。
      ヘッド角には目を瞑る選択をしたので、ヘッド用のカートリッジベアリングを確保しておくだけである程度使えるようにしたのですが、そういうやり方で長く使う方法もあるということですね。
      アダプターを旋盤を使って作るのは最終手段として、既存の製品を用いてIS41を使う方法は有益ですね、大変良い勉強になります。

  2. R3の下ワンが死んで困っていた所、こちらの記事を参考に自分で直すことができました
    感謝します

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