Intel Celeron N4500 (Jasper Lake)のレビュー!2C/2Tだが10nmプロセスで侮れない性能。Gen11 iGPUはすごい。

最近動画のエンコードをしないといけない状態になってきて、エンコードPCを探していたのですが、QSV利用の観点からひとまずCeleron N4500搭載PCを購入することにしました。

購入はしましたが、インターネットにはローンチしたばかりなのと、市場に出回っている数が少ないためCeleron N4500の性能やスペックの情報が少なかったで、この際レビューをすることにしました。

前世代より一部性能が下がったと言われているN4500ですが、私はこの前身にあたるCeleron N4100を所持していないので、数値上での比較しかできませんが、体感なども紹介できたらと思います。

目次

Jasper Lakeの概要

Jasper LakeはIntel10nmプロセスを採用するモバイル、教育向けの低消費電力CPUシリーズの開発コードです。

特徴としては10nmプロセスを採用したことによる省電力化及び、アーキテクチャの刷新によって大幅に向上したCPU性能、11世代Intel UHD Graphicsを採用しこちらも大幅に性能が向上したことが売りになっています。

少し掘り下げておくと。CPUに関してはLakefieldで省電力コアとして使用されたTremontアーキテクチャを採用しており、従来よりもIPCが30%も上昇しているとこのこと。

一応このCPUはAtomの系譜のプロセッサであるため、Coreシリーズなど比べると命令セットが貧弱だったりしますが、モバイルなどの用途には十分な性能を持つものとなっています。

AtomやCeleronと聞くとあまりまともに動かなそうというイメージを持つかもしれませんが、上述のようにCPU性能が大幅に向上したため、今までの製品とは一線を画す性能になっています。もちろんAtomの系譜なのでデスクトップ並みの性能とはいきません。

あとは、iGPUに関しては11世代グラフィックスを採用し、従来の同党モデルからなんと78%もグラフィックス性能が向上しています。

このように単純な処理性能は目覚ましい向上を見せており、全体的に大きく進歩があった製品群になります。

今回は具体的なスコアのお話をしたいだけなので、USBのポート数やPCIExの仕様については割愛します。

Jasper Lakeの製品群

jaspler Lakeには記事執筆時点では6つの製品が登場しており、CeleronとPentiumがあります。その中では、ほぼ同一コアの製品をTDP別で分けてるようなラインナップになっています。

6Wと10WのTDPがあるのでそれぞれ分割して示します。始めに6Wの製品です。

項目Pentium N6000Celeron N5100Celeron N4500
コア/スレッド数4/44/42/2
CPUベース/ブーストクロック1.1/3.3GHz1.1/2.8GHz1.1/2.8GHz
GPU実行ユニット数(EU数)322416
GPUベース/ブーストクロック350/850MHz350MHz/800MHz350/750MHz
CPU世代TremontTremontTremont
GPU世代Gen 11thGen 11thGen 11th
TDP6W6W6W
TDP6WのJasper Lake

次に10WのTDPの製品を示します。

項目Pentium N6005Celeron N5105Celeron N4505
コア/スレッド数4/44/42/2
CPUベース/ブーストクロック2.0/3.3GHz2.0/2.9GHz2.0/2.8GHz
GPU実行ユニット数(EU数)322416
GPUベース/ブーストクロック450/900MHz450MHz/800MHz450/750MHz
CPU世代TremontTremontTremont
GPU世代Gen 11thGen 11thGen 11th
TDP10W10W10W
TDP10WのJasper Lake

このようになっています。6Wと10Wの製品自体のチップ自体は全く一緒でTDPによってクロックが違うぐらいのものですね。卸価格が一緒なら、10W品を入れておいてPLで制限をかけておく方がユーザー的には遊ぶ余地もあって楽しそうなのですが、今のとことはほとんどが6W品の流通です。

コアのアーキテクチャなどは一緒でCeleron N4500/4505のみが2コアと大きく性能差をつけられている状態になっています。

しかし、後のレビューで触れますが、今回レビューする最低性能のCeleron N4500ですら6WのTDP制限にひっかかることがあるので、実際に他の製品が6Wでしっかりとカタログスペックの性能が出せるかというと疑問が残っています。

さて、次は今回レビューするCeleron N4500の具体的なスペックのお話をします。

Celeron N4500のスペック

項目Celeron N4500
コア/スレッド数2/2
CPUベース/ブーストクロック1.1/2.8GHz
GPU実行ユニット数(EU数)16
GPUベース/ブーストクロック350/750MHz
CPU世代Tremont
GPU世代Gen 11th
TDP6W
キャッシュL3 4MB
メモリDDR4-2933
LPDDR4X-2933
最大チャンネル数2
PCIEx3.0x8
製造プロセスIntel 10nm
Celeron N4500

さきほどの表に一部足して詳細なスペックにしておきました。

2コア2スレッドがどこまでやってくれるのかが気になるところです。あとは実際のベンチマークを紹介しますが、今回の具体的な使用製品と仕様に関してはベンチマークの項でまとめます。

ベンチマーク

今回使用したPCはCHUWiの「HeroBox Pro」という製品を使いました。一応レビューも書いているのでよろしければご覧ください。おそらくCeleron N4500搭載製品のミニPCではしばらくは最安だと思うので、製品レビューを見ていただいて仕様に問題がなければおすすめですよ。

このページでスペックも書いているのですが、ここでも書いておくと、Celeron N4500基本スペックはそのままでベンチマークに影響がありそうな部分を書いておくと、以下のようになっています。

  • SSD 256GB (M.2/SATA接続)
  • LPDDR4-2933 8GB(シングルチャンネル接続)
  • ファンありのPC(サーマルスロットリング未発生)

こんな感じです。SSDは快適さに直結すると思いますし、このスペックで問題ないと思いますが、メモリがシングルチャンネルになっているのは気になるところではあります。CPU的には少しだけ力を出し切れていない感じかもしれませんが、そもそもCPUもそんなに高速ではないと思うのでそこまで影響はないとは思います。

さて、今回のベンチマークは以下の3つを行います。

  • Cinebench R23
  • FF XIV ENDWALKER 暁月の終焉 ベンチマーク
  • ドラゴンクエスト X ベンチマークソフト Ver.1.51

これらのソフトでベンチマークを見て性能を見ていきます。

はじめに、Cinebench R23のスコアを示します。

Cinebench R23のスコア

Cinebench R23のスコアはマルチが1002、シングルが575ポイントとなりました。個人的に驚いたのが、下の方にはXeon X5650のスコアが載っているのですが、シングルスコアが486ポイントでこれよりも100ポイントも高速です。如何にシングル性能が大幅に向上したのかが良くわかります。

ちなみにN4500のスコアがどれくらいのスコアかというのを前世代の製品と比較してみます。

CPUTDPスコア (Cinebench R23)
Celeron N45006Wマルチ:1002
シングル:575
Atom X5 Z83502Wマルチ:398
シングル:166
Intel Celeron N41006Wマルチ:1045
シングル:384
Intel Celeron J411510Wマルチ:1100
シングル:318
前世代の製品群と比較

このスコアを見ての通り、2コアのN4500が前世代の4コア製品と渡り合う性能を見せています

IPCが大きく向上しているとはいえ2コアの差を埋めれるほど性能が向上しているのは驚きです。10W製品ともほぼ同じスコアなのもすごいところですね。

また、同じ系譜になるスティックPCなどで一世を風靡したAtom X5-Z8350と比べると雲泥の差で4コアでのスコアをシングルが上回るほどです。

このことからもかつて遅い遅いと言われたAtomシリーズとは一線を画す出来なのは間違いないでしょう。個人的には前世代とのコア数の差を埋めれるほどのシングル性能の向上が一番体感でもわかるので良いと思いました。

CPUのスコアで言うなら上出来だと思います。

次に良くなったiGPUの性能を見るべく先ほど紹介したゲーム系ベンチマークを二つ実行してみます。まずはFF XIVから示します。

FF XIV 暁月の終焉ベンチマーク

品質は標準品質(ノートPC)で解像度は1920x1080のフルスクリーンの設定。おそらくこのベンチマークソフトでできる一番低い設定のプリセットです。

さすがにFF XIVは厳しかったですね。これでゲームをしようと思うこと自体そうないと思うのですが、いくらグラフィック性能が良く成ったからといっても過度な期待は禁物です。

次にドラゴンクエスト Xのベンチマーク結果を示します。

DQ Xベンチマーク

こちらは低品質、解像度1920x1080のフルスクリーンモードでやや重いでプレイできなくはない快適さです。まさか6WCPUでDQ Xを多少我慢すれば遊べるところまで来ているとは驚きました。

1280x720のHDまで解像度を下げれば快適にプレイができる可能性が高いです。11世代GPUはやはりすごいです。FF XIVが少し重めなのであちらは仕方ないと思います。

11世代グラフィックスの性能は過度な禁物は禁止ではあるものの、大した性能を必要としない用途であれば全く困らない高い性能を有しているということがわかりました。

そこそこグラフィック性能が必要なゲームはやはりCeleron N4500には厳しいみたいです。もしかしたらPentium Silver N6000/N6005のようにCoreシリーズぐらいEU数が多いものならもっと快適に動作する可能性が高いです。

TDP6W制限で全力が出せない

これはベンチマークや動画エンコードさせているときに発生していたのですが、カタログスペック上では2.8GHzまでブーストすることになっているCPUなのですが、iGPUもパワーを必要としているタイミングでタスクマネージャーを開いてみると、動作クロックが2GHzなどに落ちていることを確認しました。

ちなみに、CPUのみに処理させるだけならCeleron N4500でも2コアとも全力で動かせます。

2.8GHz付近で動く

このときの消費電力を外部ツールで覗いてみるとこの時点でほぼ6Wギリギリの電力を使用しており、ここにiGPUの負荷がかかると6Wをオーバーしてしまうために限界までクロックが落ちてしまっているようです。

ちなみにGPUの動作クロックはツールを使って調べようとしたのですが、新しいCPUでほぼ製品が出回っていないためかどのツールでも読み込むことができませんでした。そのためGPU部分のクロックは不明です。

ここらへんの制御はマザーボードに依存している部分が多いのではっきりとは言えませんが、今回使用したCHUWI「HeroBox Pro」ではGPU部分よりもCPU部分に電力を多めに回しているようでCPUがかつかつだとGPUが遊んでしまいました、こればっかりは設計によるのでなんともいえません。

また、今回レビューしているCeleron N4500はJaspler Lakeの一番下のグレードなので、他の4コアのCeleron/Pentium Silverでも同じような使い方をするとダウンクロックをすると思います。

4コアに32EUとなると電力的には相当厳しいと思うのですが、少ないコアを電圧を上げて回すよりは多いコアを低いクロックで回す方が快適に動作するとは思います。ここまでのスペックの製品を購入するなら10W TDP品のJasper Laskeの方がより力を出せて良いかもしれないと感じました。

実際の使用感など

SSDを採用している製品なのでほぼI/O待ちによるボトルネックは発生しない環境でのお話になります。

この状態だとソフトの起動などはかなり快適で驚かされます。ノートPCなんかと近い感覚で動きます。デスクトップPCのようにはいきませんね。Atom X5-Z8350の製品なんかと比べると全然快適さが違います。Atomだとワンテンポ遅れて動く感じなのですが、Celeron N4500だとそう感じることはあまりありません。重いソフトのときぐらいです。

この快適さの違いはやはり総合的な性能も高いのはあると思いますが、一番快適さに貢献しているのはシングルスレッド性能の高さでしょう。

昨今のOSやソフトはマルチコアに最適化されているとはいえ、未だに逐次処理も多いのでシングルスレッド性能高さは数字以上に快適さの面では効いていると思いました。

その反面このCPUは2コアしかないので、いくらシングルスレッド性能が高くても上限はあり、CPUを全力で使う動画のエンコードなんかでは限界性能の低さが気になると思いました。なので、ブラウジングや動画視聴などの軽い作業で有ればCeleron N4500は快適ですね。重い作業すると急にしんどくなる感じです。

後は気になったこととしてはコア数が少ないのもあって、WindowsアップデートでもほぼCPUリソースを全部持っていかれます。Windowsアップデート中はCPU使用率は常に100%です。

ですが、制御が上手いのかこの状態でもブラウザを見る程度ならCPU使用率100%とは思えないぐらい快適に動くのにはびっくりしました。もしかしたら今回使用したPCのストレージがSSDというのも大きいのかもしれません。

個人的な総評としては、価格をみれば大満足の出来で、数字以上に快適であることに驚かされるCPUでした。4コア製品ならもっと性能がいいと思うとどれくらい快適なのかは気になってしまいますね。

後は、11世代GPUを内蔵している恩恵は機能的にも存在していて、QSVという機能を用いてGPUを使って動画をエンコードする際の画質が設定によってはとてもきれいで世代が変わったことの驚きを味わえました。私はこれを目当てにこのCeleron N4500搭載PCを購入したので、満足しています。

まとめ

前世代のCPUからは飛躍的な性能向上を遂げ、それはコア数の差をひっくり返しかねないほどでした。シングル性能の向上は素晴らしいもので、実際の使用では快適さに数字以上の貢献をしていると感じます。

11世代GPUを内蔵しており、これもグラフィック性能の改善に大きく貢献しており、軽いゲームならできるぐらいのものであることがわかりました。もちろん、TDPが6Wの製品なので、過度な期待は禁物ですが、想定される軽い用途や教育向けには十分な性能だと感じました。

また消費電力の面でも、Intel 10nmを製造プロセスに採用したことにより性能を従来よりも大幅に向上させつつ6W以内に収めることができているのも素晴らしく。前世代の製品からは性能はジャンプアップしており、全くの別物で次世代の廉価PCのスタンダードになっていくCPUなのだろうなと感じました。

使用感としても重い作業をしなければ、快適そのものでOfficeを使う都合で、とりあえずPCが欲しいなんて方でもおすすめできるCPUだなと思いました。

以上です。お読みいただきありがとうございました。

4件のコメント

  1. こんにちは。レビュー参考になりました。
    ハードウェア(QSV)でのエンコードは、どのような設定(オプション)で行ってらっしゃいますか?
    動画のエンコードを始めていて、いま私はHandbreak/Amatukazeを使わせてもらって勉強中です。GUIではハード・ソフトともできて、CUIでバッチ化を試行錯誤中です。よかったら教えてください。

    1. コメントありがとうございます。参考になったようで何よりです。

      私はAmatsukazeユーザーで、Handbreakのことはよくわからないので、Handbreakの方については回答を控えさせていただきます。
      ところで、Amatsukazeとのことなのですが、テレビ放送のMPEG-2についてということでお間違いありませんか?
      そうであれば、Amatsukazeの方に関してはQSVEncを利用しているという前提でのお話になりますが、以下のようなオプションを用いています。

      --icq 16 -u 1 -c hevc --profile main10 --output-depth 10 --gop-len 90 -vpp-deinterlace normal

      --icqの値はご自身でどれくらいの画質で残したいか決めていただければと思いますが、19ぐらいがいいような気がします。気持ち綺麗に残したくて16にしているので、参考までにという感じです。
      また、MPEG-2のデコードにはQSVを利用しています。理由としては、CPU部分がCMカットでCPUリソースがギリギリであり、GPUが遊んでしまっているので、GPUに処理をさせて高速化が狙えるからです。
      CMカットにつきましては、CMカット、チャプター解析、ロゴ消しをしています。これで画面オフにしている状態で70fps/s以上の速度がでます。それ以外に平滑化フィルタなどを使うと激遅になってしまいます。
      ただし、インターレース解除をGPUに投げているのもあって、画質の面ではSWデコードの方が綺麗ですが、それをすると10fps/s以下まで速度が低下するのでおすすめはしません。処理の差に見合う画質の変化とは私は感じませんでした。

      私は色々試して、こんなオプションに落ち着きましたが、画質はそこそこ綺麗なら良いかなと思っているタイプなので、参考程度にお願いします。

  2. 丁寧なお返事ありがとうございます。ご推察の通りで、AmatsukazeではTSからのQSVEncの利用です。なるほど。ソフトウェアエンコードしない代わりに、--icq 16 -u 1 で品質を上げる考え方のようですね。icqの値は変えて試してみます。ありがとうございました!

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