PROWHEEL MIDTOWNクランクのレビュー!優秀なBCD130mmの軽量クランク。シマノBB互換クランクだが注意点も。

(追記)PROWHEELの評判を調べてやってくる方が案外いるのでメーカの評判も少し書いておこうと思います。

最近ミニベロの魔改造計画を立てていたのですが、ミニベロの定番改造と言えばチェーンリングの大型化。

私の購入候補のミニベロはBCDが一般車のものなので、大型のチェーンリングがつかないということでクランクを新たに用意することに。

そんなときBCD(PCD)が130mmでそこそこのスペックのクランクを探した結果、レビューする今回の「PROWHEEL MIDTOWN」というクランクを発見。運よく中古で美品を入手することができたので、これをレビューしていきます。

目次

PROWHEELってどんなメーカー?

そもそもこの記事にたどり着く人はPROWHEELをご存じの方も多いかもしれません。ですが、知らない方もいると思うのでせっかくなのでどんなメーカーかを紹介しておきましょう。

まあ私自身が、自転車屋務めではあるので見る機会がありますが、普通の人は気に留めないメーカーかもしれません。あとはこれと言って悪い話は聞かないけど、無名だからイメージは良くないって人も多いかもしれませんね。

結論からいうならまともなメーカーです。レースに出るならシマノなどのレースでの実績があるメーカーが良いと思いますが、それ以外の街乗りやロングライド程度では全く問題のないメーカーです。

さて、ROWHEELはどこかのクランクのOEM(別メーカーの製品を委託されて生産)をしていることが多いです。有名どころだとDAHONとかTernのクランクはPROWHEELのものが多いです。具体的な名前を出すと2021年式のDAHON K3に使われているクランクはメーカー公式では「Dahon light weight crank, 53T」なんて書いてますけど、PROWHEELが生産しています。

こんな風に名前は出てないけどPROWHEELのクランクなんてことは多いです。逆にGIANTの製品なんかだと社名が出ていますね。ESCAPE R3には「SWIFT」が、IDIOMなんかには「CHARIOT」が使われています。

そもそも自転車のフレームも含め、自転車の部品って作っているところって結構限られるんですよ。実際に自社でクランクを作ってるメーカーなんて数が知れています

なのでクランクを自前で生産しているので、自転車業界的にはそれだけでも会社的には問題なしです。OEMをしていたり、製品が採用されているだけあって、少なくとも一定の品質は期待できるメーカーなわけですね。

さて、PROWHEELの評判はわかっていただけたと思いますが、PROWHEELはどこの会社かご存じでしょうか。

答えは「台湾」の会社です。そして、クランク周りだけを専門的に作っているクランク屋さんです。ちなみに公式サイトはこちらです。

http://www.pro-wheel.com.tw/main/

PFDで2020年のカタログを見つけたのですが、遅くてダウンロードしにくかったので別の場所にも置いておきました。ラインナップとかもよくわかるので気になる方はどうぞ

https://drive.google.com/file/d/1aC5hUMp3G9Mwz7rzvPQIz5gYKeLqWTd3/view?usp=sharing

製品のページをみたらわかるのですが、数多のクランクが用意されています。まさにクランク屋さん。ていうか本当にクランク周りしか作ってない。

この手のクランクのOEM生産をしているところだと、他にはLASCOなんかも有名ですね(ここまできたらもう自転車屋しか興味がないのかもしれませんが…)。LASCOも気になる人がいるかもしれないので下にリンク置いておきます。

https://lunge.imb2b.com/

このLASCOも台湾の会社です。台湾は自転車生産の拠点なだけあって、本当に部品屋さんも多いです。

LASCOとPROWHEELだと、ラインナップとかみたらわかるのですが、PROWHEELの方がグレードが高いクランクが多いです。

LASCOはどちらかというと、低価格向けに良く採用されています。スクエアとかISIS仕様のクランクだと採用されていることが多いです。

PROWHEELの方がシャフト一体型のクランクが採用されていたり性能的には高いものが多かったりします。

PROWHEELのクランクはダメみたいな噂を聞いたりもしますが、それはTEKTROのブレーキが効かないという噂と同じだと思います。

一部の良くない評判が、さもそのメーカーが良くないという風に扱われるというやつです。最初の方に出したGIANTのESCAPE R3の評判なんかを見るとPROWHEELはダメとか書いている人が多いわけですが、そりゃ価格からしてそうでしょうとしかいいようがないと思います。世の中の常識として、お金を出せばよい部品が付くのは当たり前のことで、ESCAPE R3は一番下のグレードですからどこかで妥協する必要があるわけですよ。全体のバランスをとった結果PROWHEELのクランクになったのでしょうからね。

後は組み付ける部品によっても全然出来が変わるのは当然だと思います。チェーンリングの剛性が変速性能に大きくかかわるのは少し良いロードを持たれていたりする方は心当たりがあるのではないでしょうか。スクエアテーパーのクランクを使って剛性が~なんて言ってこれだからPROWHEELのクランクをやり玉に挙げる人もいます。さらには変速も切り替わりが悪いとかですね。正直ここまで言ってしまうと滑稽なもので、そんな剛性欲しいなら中空軸なりホローテックのクランクに変えれば良いのにと思います。いいグレードにすれば変速も良くなりますしね。高い!って思うならそのグレードの車体にその「高い物」を取り付けて販売できるか?という話になります。

そう、PROWHEELは本当にコスト相応にできています。安価なものは変速も剛性もそれなりですし、グレードが上がっていけばその分剛性なり軽量さが良くなっていきます。

ですが、PROWHEELの良いところというのは、コスト相応ですが、しっかりと、相応に使えるのです。剛性も変速性能も”そこそこ”だけどある程度使える。逆に完成車そういったそこそこのところに落とし込むことが多いからこそ完璧を求める人が不満を言うわけです。そして評判だけが一人歩きすると。そういう流れで悪い評判を聞いたりもするのではないですかね。

個人的な感想でいうならLASCOよりもPROWHEELの方が信頼できるメーカーだと感じています。ていうか名前世間に公表されるようなOEMメーカーの中なら多分PROWHEELが一番いいとまで思っています。価格に対して質実剛健というイメージです。

長々書いてしまいましたが、一言でまとめるならPROWHEELってそんなに悪くないメーカーです。多分に私の意見も入っていますが…(笑)

レーシング機材には向かないとは思いますが、逆にレースに使う以外の用途ならなんでも使えるぐらいのものです。コスパや選択肢の多さで良いメーカーだと思います。

MIDTOWNのスペック

私はヤフオクに流れているMIDTOWNを入手しました。

Aliexpressにはなんと、PROWHEELの公式ストアが存在しているのでそこから入手することができます。海外の正規品ってことですね。ここならいろんな種類のクランクやチェーンリングが手に入るので、クランク周りの部品だけが欲しい時は今後お世話になることがあるかもしれません。ラインナップが充実しているのでこんな部品欲しいなっていうのがたまにあったりします。

※最終的に、私が執筆している途中で60Tのチェーンガード付きチェーンリングを購入しました。届いたらレビューでもしてみようと思います。

届いたのでレビューを書いてみました。一言で言うなら悪くないんじゃないかと思います。

さてMIDTOWNの公式スペック(特徴)はこんな感じです。

  • B.C.D. 130mm
  • クランク長:170mm
  • 中空軸一体型タイプ(24mm軸)
  • 5アームデザイン
  • チェーンライン:45mm
  • Q/Iファクター:158/129mm
  • (メーカーの設定は)ミニベロ向け

とこんな感じです。少しQファクターが広めなことを除けば基本的なところは抑えていていいと思います。

昔はシマノもBCDが130mmのクランクをたくさん作っていたのに、コンパクトクランクが流行したのと同時に次第に入手が難しくなり、現行で購入ができるのはFC-R3030-CGぐらいじゃないでしょうか。

お遊びミニベロのカスタムにそこまでのクランクが欲しかったわけでもないので、そこそこの値段でポイントを押さえているのは大変ありがたいところです。

また、中空軸のタイプですが、シマノ互換ですね。24mmなのでシマノBBが使えるので、クランクさえ入手してしまえば、他は日本国内で完結できるのは良いですね。

あとは、国内で部品単位での販売はなさそうなので入手性は悪いと思います。念のため類似製品を上げておきますね。カタログに同じような形の製品があったのでおそらくPROWHEELのOEMですね。


フォトレビュー

まあフォトレビューと言えどヤフオクで買った中古品なので、外観はこんな感じですよ程度で思っていただければ。

こんな感じになっています。構造は見ての通りですがシマノの2ピースクランクと同じような感じになっています。

クランク本体の裏側は肉抜きによって軽量化されているので、ホローテックほどの剛性はないと思います。

レース用には進めませんが、街乗り用に軽量かつ安価な部品という用途なら良さそうですね。

シマノ製と少し違うなと思ったのが、シマノのクランクは左クランクがはめられる角度って決まっていたんですが、このクランクは山の間隔が一定なので、どの角度でもクランクがはまります。ここら辺はコストカットの都合ですかね。まあ、角度をずらして組み付けるなんてこと絶対しないと思うので、制限する意味もないんですが…

あとはこの写真です。

チェーンリングを外して横から

見ての通りですが、フロントダブルに対応した形になっています。メーカー的にはミニベロ用で、売っているのもフロントシングル向けしか販売していないようですが、汎用性を重視したのでしょう。

クランクを別の車体で使うといったときにも使いまわしやすいのでここら辺はありがたいところですね。

付属のチェーンリングボルトはおそらく鉄ですね。

左はシマノ純正の鉄製、右は付属のもの

わかりにくいかもしれませんが、磁石についているので、鉄製でしょう。持った感じもずっしりしているので、軽量化したい場合はアルミ製ボルトに交換してもいいかもしれませんね。

あとは、左のシマノのボルトはフロントダブル用のものだったので長く、フロントシングルだったMIDTOWNのは当然ながら短いものがついていました。おそらく6mmのものです。

重量測定

私は数十グラム程度なら気にしない人間なので、測りも適当ですが、気になる方もいると思うので念のため掲載しておきます。

吊り下げ式のもので10g単位のものなので結構誤差がある可能性があることだけあらかじめお断りさせていただきます。

まずはクランク本体から。

クランクアームのみ

クランクアームだけで大体670gです。

追記:2021/6/28もうちょっと正確なスケールで量ってみました。以下のようになりました。

タニタのスケールを使用

648gでした。FC4650の持っているのですが、これが640gなのでPCDの差が出たという感じでしょうか。シマノのクランクと大差ない重量でした。

併せてクランクボルトの方を量ってみました。

クランクボルトの重量

私の購入したクランクボルトが7.0gでした。なので、合計で655gです。追記ここまで。

次にチェーンリングの方を測ってみます。

53Tのチェーンリングを測定

53Tのチェーンリングを測定してみた結果160g程度のようです。両方一緒にぶら下げてみたところ、当然ながら合計した830gになっていました。チェーンリングボルトも一緒にぶら下げたので、ボルト自体は合計して10gもないってことですね。

そこそこ誤差がある可能性を考慮しても、軽量クランクの部類に入るとは思います。お値段もAliexpressで購入してもBB付きで4000円そこらで購入できる製品としては上出来です。

ちなみに私の別自転車で使ってるFC-RS500のクランクはBCD110mmってことを除けば同じようなクランクアームですが、うろ覚えですが、660gとかだった気がするのでシマノ製比較しても悪くはない重量だと思います。まだ組み付けてないですし、そんな踏み込むような使い方をするわけではないので、剛性の観点からはなんとも言えません。

(追記:2022/1/14)クランクを取り付けました。変によれるとか曹宇いう感じもしません。やはり中空クランクなので剛性は悪くありません。レースに使わないロードでなら使っても良いかなと感じました。レースに使うならシマノ製などのもっとレースで実績のあるメーカーが良いと思います。

ここで問題が発生…

組み付けるのが楽しみだなと思っていたのですが、その時のことを考えてふと気になったのですが、そういえば購入したときに左クランクが脱落しないようにする部品がなかったことを思い出します。

この左クランク脱落防止のボルトがないと、徐々にクランクがずれてきて最後は左クランクが脱落してしまうんですよ。シマノなら固定防止ピンがあったり、締め付ける力があったりして、なくてもなんとかなってしまったりするんですが、PROWHEELのはそうもいかないと思います。

なんせFSAなんかもMegaExoや、BB30のクランクで同じような機構がありますが、これは固定ボルトがないと脱落しますからね。大手のFSAでこれなのでシマノが特殊なだけで、普通はないと危険な部品だということは肝に銘じておかなければなりません。

さて、なのでとりあえず適合しそうな部品を取り寄せて試してみることにします。やっぱりシマノの同じ部位の部品を使ってみることにしましょう。なんせ軸の太さが同じですから合いそうですしね。

そんなわけで取り寄せてみました。取り寄せたのはこちらの部品です。

この部品

さて適合する部品なのか確認と思ってねじの部分に差し込もうとして時だめだと悟りました。

はまる様子がなく乗ってしまう

見ての通り、アクスルシャフトの方が細いために入らないですね。ノギスを使って計測してみたところ、M18のボルトが必要なサイズであることが判明しました。シマノのはM20の規格なのでどおりで合わないわけですね。

合いそうな部品

M18のクランクボルトって実は国内ではほぼ出回っていません。というのも、大半がシマノ向けの部品なので、カスタム部品で出ている部品も基本的にはM20の規格なので使えないわけです。

なので合いそうな部品は中華通販を探せば出てくるので、海外通販に抵抗がない人はここらへんのを購入して付けてみるのがいいと思います。ねじピッチの問題もあるので、M18の規格だからと言って必ず合うわけではないのには要注意です。

国内で手に入る部品で合いそうなのだと私が見た限り一つだけで、以下の製品です。


FSAのMegaExoなどのクランク用の補修部品で、「ML-140」っていうやつですね。これが合うかどうかは買ってみないとわからないので、どうしても国内がいいって方はこれを試すぐらいしかないと思います。規格があっているだけで、実際に使えるかどうかは、試していない以上は私にもわかりません。

なので結局M18規格のクランクボルトを何かしら取り寄せてみてからじゃないとわからなそうです。とりあえず私はAliexpressで購入してみたので、届き次第結果を追記します。早々に訪れていただいた方には申し訳ないのですが、結果は追記されるまでお待ちください。

(追記:2021/7/3)Amazonでもマケプレですが購入できるのがあったので掲載しておきます。ていうか全く同じものっぽいです。下の追記で書いていますが、これのM18がおそらく合うはずです。全く同じものという確証はないので自己責任で判断をお願いします。

(追記:2021/5/20)Aliexpressで購入したM18のクランクボルトが入手できました。1個50円ほどと安かったのと(送料が400円ぐらい)カラーが3色あったので全部買ってみました。

3色のM18クランクボルト

一緒にチェーンリングボルトも一緒に写っているんですが、アルマイトの色比較のために入れてます。

本当に余談ですが、青のカラーパーツって難しいんですよね。日本国内で売られている青のアルマイト処理の色って水色っぽいものが多いんです。横に映っているチェーンリングボルトは写真じゃわかりにくいですが水色っぽいアルマイトで、今回購入したM18のボルトは表現が難しいですが、濃い青でした。普通の青というか、そんな感じの色です。

さて、話が逸れてしまいましたが、これが適合するのかというと、適合します。以下の写真の通りです。

取り付けできた

ねじ山に対してボルトの長さは少し短いですが、実用上問題はなさそうです。

なので、PROWHEEL MIDTOWNのクランクボルトはM18のものが適合します。なので、FSA ML-140もねじピッチが合えば国内でも補修部品として用意することはできそうですね。

おそらくですが、PROWHEELの中空クランク(メーカー的にはTorque Tubeっていう技術らしい)のクランクボルトは全部M18である可能性が高いです。FSAとかの規格に合わせたんですかね。

総評

スペック的には要点を抑えていて、シマノBBも使える規格なので、非常に汎用性も高く文句なしです。メーカー的にはミニベロ向け、フロントシングル用に売っていますが、クランク自体はフロントダブルにも使える使える形状なのもいいところですね。

また、お値段も中華通販経由にはなりますが、シマノ製では手に入りにくくなったBCD130mm、中空軸タイプが公式ストア経由でもそこそこ安く(4000円強)ぐらいの値段で手に入るのも良いところですね。

重量も値段に対して健闘しているため、ミニベロ軽量&高速カスタムには向いている逸品ではないでしょうか。

私個人の評価は総合的には文句のつけようのないクランクだなと思いました。

以上です。お読みいただきありがとうございました。

3件のコメント

  1. 最近グラベルロードにハマって自転車に興味を持っているものです。詳しい解説、大変勉強になりました。また投稿読ませていただきたいと思います。

thunsuke へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です